コンサル 求人に関するお話

とくに国際的な取引においては,時差や法律の違いもあって解決に時間がかかることが多い。
そのため,最近になって,決済を安全かつ効率的に行うための組織的な仕組みである「取引決済制度」やその仕組みをサポートするオペレーティングシステムである「決済システム」を整備することが1国の経済発展にとって不可欠であると認識されるに至った。 取引決済制度には,中央銀行が運営する資金決済システム(例:日本の日銀ネット営業系システム,アメリカのFedwire)のほか,銀行協会等が運営する国内為替資金の決済システム(例:日本の全銀システム〈内国為替決済制度>)や外国為替資金の決済システム(例:日本の外為円システム〈外国為替円決済制度>,アメリカのCHIPS),さまざまな主体が運営する証券決済システム(例:日銀の日銀ネット国債系システム,東京証券取引所),国際的な決済システム(例:ユーロクリア)などがある。
そこで,本章では,金融機関を念頭に,決済の概念とリスクの所在について説明した後,資金決済システムと証券決済システムを取り上げ,その後,貿易決済など一般企業間の取引決済で多用される仕組みについても概説する。 決済システム専門家の問では,決済を論じる際,現象面からpayment(支払)→clearing(清算)→settlement(支払完了)という継続して生じる3段階に分けて議論するのが普通である。
paymentとは,現金・小切手の受渡しや振込・送金等,決済のための支払行為を指す。 clearingとは,paymentに伴う債権債務を差引計算等によって整理し,実際の資金または証券の受渡額を確定することをいう。
settlementは,決済対象である資金または証券を最終的に受け渡すことで,ここに至って決済が完了し,債権債務関係が消滅する。 これら3段階は場合によっては一致することがあり,上記設例で皆さんが100円を支払うことはpaymentであるとともに,その時点でジュースと引換えに債権債務関係が消滅するのでsettlementともいえる。
しかし,皆さんが複数の取引を行った後,債権債務を相殺して一定期日に差引決済する場合や,銀行を介した取引を行う場合などを想定すると,これらの3段階が比較的明確に分かれてくる。 たとえば,Aさんとその友達のBさんはお互いにほぼ毎日現金の貸し借りをしており,月末に差額を決済していたとしよう。
現金を貸し借りする際,現金の支払行為(payment)はあるが,貸借に伴う債権債務関係は残ったままである。 月末になって1ヵ月分の債権債務額(たとえば債権が10万円,債務が10万100円)を差引計算(clearing)した結果,BさんからAさんに差引結果(たとえば100円)を支払えば(payment),債権債務関係が消滅する(settlement)。

次にA銀行に口座を持つ振込依頼人のaさんがB銀行に口座を持つ受取人のbさんに電信為替を使って国内振込を行う場合の例を2000年時点でみてみよう。 ここでは,A銀行は振込依頼人aから依頼を受けて朝一番(9:00)にB銀行に為替電文を全銀システム(後述)を使って為替電文を送信したとする。
これを即座に受信したB銀行は9:OOに受取人bの口座に入金した(payment)。 一方,1本1本の取引データは1本ずつ送信するよりもある程度まとめて送信したほうが効率的なので,17:00に全銀システムを通じて差引計算され(clearing),その結果(決済尻)が日本銀行(中央銀行)に送信され,最終的には日本銀行の決済システム(日銀ネット)を通じて17:00に確定した(settlement)。
なお,ここでの決済時間は海外送金の場合や介在する取引決済制度の相違によって変わり得る。 また,2001年以降は日本銀行の最終決済が時点ネット決済(後述)から即時グロス決済(後述)に移行したため,全銀システムや日本銀行における決済は16:15から順次RTGS決済されるようになっている。
では,何故このような3分類を行うかというと,債権債務関係が消滅するsettlementの段階に至るまでは,いかにpaymentやclearingを行おうとも決済が予定どおり行われないリスク(決済リスク)が残ってしまうためであり,決済のように見える取引がsettlementか否かをみることがリスク管理に役立つからである。 同じくリスク管理上重要な概念としてファイナリテイ(決済完了性:finality)がある。
ファイナリテイとは決済の取消がないことを意味し,無条件に取消不能である。 上記の3分類でいえばsettlementが当事者間でファイナリテイを持つ場合に当たる。
当事者間ファイナリテイを有する決済手段としては,現金と中央銀行の預金口座の資金が挙げられる。 一方,倒産管財人など第三者との間でファイナリテイを持つには別途立法が必要であり,欧米諸国は近年相次いで立法を整備したものの日本には未だ立法が存在しない。
決済リスクとは,取引約定を結んだ後,何らかの事』情によって決済が予定どおり行われないことによる損失の可能性をいう。 決済リスクには,自分が支払不能の当事者となる場合と他人の支払不能の影響を受ける場合の2通りが存在する。また,決済リスクの原因・性質に着目して,信用リスクや流動性リスク,オペレーショナルリスク,法的リスクという分類がなされている。
以下,簡単に説明しよう。 信用リスクは,取引の一方の当事者が財務状況等の悪化などによって決済ができなくなった場合に相手方当事者が損害を被るリスクであり,取引金額を現在および将来のいかなる時点においても受け取れなくなる可能性を指す。

こうしたリスクは,当事者の一方が他方のために立替払いをしている場合や双務契約において一方が先履行した場合などに生じる。 立替えや先履行を行った相手方当事者は,取引金額の全部または一部について回収不能になる可能性がある。
流動性リスクとは,将来時点では取引金額を受け取れるかもしれないが,予定した決済時点では受け取れない可能性を指し,相手方から受け取る予定であった資金や証券を受け取れないので,他の場所から改めてその分を手当てしようにもできなかったり,手当てできたとしても市場価格の変動によって当初契約よりも高いコストを支払わされる場合がある。 オペレーショナルリスクとは,作業上の人為的ミスやシステム障害等によって決済が予定どおりに行われないリスクを指す。
なお,人為的ミスへの対応にはさまざまなものがあるが,最近証券取引で導入が進んでいる「STP(Straight-ThroughProcessing)化」もそれに資する動きといえよう。 STp化とは,約定から決済に至るプロセスを標準化されたメッセージ.フォーマットによってシステム間で自動的に連動させることにより,人手を介さずに一連の作業を継ぎ目なく行うことを指し,手作業が介在する従来の証券取引事務に比べると,コスト削減や人為ミス軽減,さらには決済期間の短縮を通じてさまざまなリスクが発生する可能性を減らすことができる。
一方,手作業をコンピュータ化することで却ってコンピュータ特有のリスクが生じる場合もある。

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